カンファレンスが苦手な方

医療現場でのカンファレンスは、患者の治療方針を決める大切な場ですが、伝え方がうまくないと思っている医療従事者も少なくありません。
カンファレンスにおいて大切なのは自分の考えをシンプルにまとめることです。
複雑な専門用語を避け、簡単な言葉を使って要点を伝えるように心掛けましょう。
医療知識が豊富な同僚と話すときも、話の本質を捉えやすくするため、シンプルな表現が効果的です。
また、聞き手の立場に立って考えることも重要です。
自分が伝えたいことと、相手が知りたいことが一致しているかを常に意識しましょう。
相手の専門分野や関心に合わせて、情報の提供方法を変える柔軟さが求められます。

さらに、相手の反応を見ながら話すこともポイントです。
相手の表情や反応から、理解してもらえているか、関心を持ってもらえているかを読み取り、必要に応じて話のペースや内容を調整しましょう。
質問や意見が出やすい雰囲気を作ることも、効果的なコミュニケーションにつながります。
そして忘れてはならないのが、感謝の気持ちです。
共に考え、議論を重ねることで最良の治療方針を見つけ出すため、参加者一人ひとりへの感謝の言葉を忘れずに伝えましょう。
チームとして協力していく姿勢が伝わると、よりスムーズなコミュニケーションが促されます。
このように、シンプルな表現を心掛け、相手の立場に立って考え、自信を持って、相手の反応を見ながら、そして感謝の気持ちを忘れずに伝えることが、医療現場でのカンファレンスをうまく乗り切るコツです。
これらを意識することで、カンファレンスが苦手な医療従事者も、より良い伝え方ができるようになるでしょう。

医療カンファレンスの場にも電子化が必要

医療系のテレビドラマでは、大学病院のカンファレンスの場面を見ることがあります。
特定の患者の疾患を例にレントゲン写真などを用い、病院長をはじめとする医師達が一堂に集まり、疾患の内容や手術の方針などを話し合う場面です。
大病院では患者の情報を大画面に映し出し、全員が参照できるように電子化が進んでいます。
手術のない整形外科など小さなクリニックでも、スタッフ全員を集めたカンファレンスは行われています。
例えば整形外科では、日常は診察室(処置室兼用)で医師が診察と治療を行い、その患者のリハビリテーションは別室で行うのが普通です。
これらは同時進行で行われ、診察直後や必要に応じて医師からリハビリテーション室の担当者に指示が伝えられ、それに従い運動療法や医療マッサージなどが行われます。
そして最低1か月に1度は、医師と看護師やリハビリテーション担当などの職員が集まり、カンファレンスで情報共有を行っています。

普段は医師と直接の担当者間で情報交換をしますが、カンファレンスでは全員が患者の医療情報を共有化します。
医師と担当者だけでなく他の職員が持つ貴重な情報も交換され、有意義な会議が行われます。
しかし小さなクリニックでは、未だ紙ベースのカルテや申し送り帳などで情報伝達を行っている所もあります。
このような場合、職員個別に持つ貴重な情報が共有漏れになってしまう場合があります。
またカルテの保管場所に行き、情報を取得するのにも手間がかかります。
そこで大病院ほどでなくても電子カルテなどを導入し、普段から皆が情報共有しやすい環境を整えることで、より充実した医療が行えます。
医療現場の益々の電子化が望まれます。

カンファレンスにも種類がある

カンファレンスとは会議のことです。
ただし、単なる打ち合わせや説明会という意味のミーティングやブリーフィングとは異なり、比較的大規模で相互に意見を交わす場のことを指します。
医療現場では、医師と看護師の小規模のミーティングやブリーフィングは頻繁に行われていますが、これらをカンファレンスとは言いません。
これとは別に、患者に関する情報共有や治療方針の統一など目的別に様々なカンファレンスが行われているのです。
まず、主治医や看護師だけでなく理学療法士や薬剤師など患者にかかわる職種の医療関係者が集まり、治療の方向性について話し合う会議であるチームカンファレンスがあります。
チームカンファレンスにも、褥瘡チームカンファレンスや栄養チームカンファレンスなど目的毎に多様な種類があります。

また、複数の看護師が1人の患者のケアをするチームナーシングという看護方式を採る病院などで、患者が病院で亡くなった後デスカンファレンスを開くことがあります。
デスカンファレンスとは、看護に尽力したにもかかわらず患者が亡くなってしまった事実と向き合い、看護師たちが看護のプロセスについて話し合う会議です。
デスカンファレンスは、看護師のミスのチェックというよりも患者の死に責任を感じてしまいがちな看護師の心のケアという意味合いが強いのです。
そのほかにも、病棟毎の看護師が集まって病棟特有の問題を話し合う病棟カンファレンスや、実習中の看護学生を対象とした看護学生カンファレンスなど、多種多様なカンファレンスが医療現場で行われています。
より良い医療現場にするためにも、カンファレンスの目的をしっかり理解する必要があるでしょう。