医療カンファレンスの場にも電子化が必要

医療系のテレビドラマでは、大学病院のカンファレンスの場面を見ることがあります。
特定の患者の疾患を例にレントゲン写真などを用い、病院長をはじめとする医師達が一堂に集まり、疾患の内容や手術の方針などを話し合う場面です。
大病院では患者の情報を大画面に映し出し、全員が参照できるように電子化が進んでいます。
手術のない整形外科など小さなクリニックでも、スタッフ全員を集めたカンファレンスは行われています。
例えば整形外科では、日常は診察室(処置室兼用)で医師が診察と治療を行い、その患者のリハビリテーションは別室で行うのが普通です。
これらは同時進行で行われ、診察直後や必要に応じて医師からリハビリテーション室の担当者に指示が伝えられ、それに従い運動療法や医療マッサージなどが行われます。
そして最低1か月に1度は、医師と看護師やリハビリテーション担当などの職員が集まり、カンファレンスで情報共有を行っています。

普段は医師と直接の担当者間で情報交換をしますが、カンファレンスでは全員が患者の医療情報を共有化します。
医師と担当者だけでなく他の職員が持つ貴重な情報も交換され、有意義な会議が行われます。
しかし小さなクリニックでは、未だ紙ベースのカルテや申し送り帳などで情報伝達を行っている所もあります。
このような場合、職員個別に持つ貴重な情報が共有漏れになってしまう場合があります。
またカルテの保管場所に行き、情報を取得するのにも手間がかかります。
そこで大病院ほどでなくても電子カルテなどを導入し、普段から皆が情報共有しやすい環境を整えることで、より充実した医療が行えます。
医療現場の益々の電子化が望まれます。

カンファレンスにも種類がある

カンファレンスとは会議のことです。
ただし、単なる打ち合わせや説明会という意味のミーティングやブリーフィングとは異なり、比較的大規模で相互に意見を交わす場のことを指します。
医療現場では、医師と看護師の小規模のミーティングやブリーフィングは頻繁に行われていますが、これらをカンファレンスとは言いません。
これとは別に、患者に関する情報共有や治療方針の統一など目的別に様々なカンファレンスが行われているのです。
まず、主治医や看護師だけでなく理学療法士や薬剤師など患者にかかわる職種の医療関係者が集まり、治療の方向性について話し合う会議であるチームカンファレンスがあります。
チームカンファレンスにも、褥瘡チームカンファレンスや栄養チームカンファレンスなど目的毎に多様な種類があります。

また、複数の看護師が1人の患者のケアをするチームナーシングという看護方式を採る病院などで、患者が病院で亡くなった後デスカンファレンスを開くことがあります。
デスカンファレンスとは、看護に尽力したにもかかわらず患者が亡くなってしまった事実と向き合い、看護師たちが看護のプロセスについて話し合う会議です。
デスカンファレンスは、看護師のミスのチェックというよりも患者の死に責任を感じてしまいがちな看護師の心のケアという意味合いが強いのです。
そのほかにも、病棟毎の看護師が集まって病棟特有の問題を話し合う病棟カンファレンスや、実習中の看護学生を対象とした看護学生カンファレンスなど、多種多様なカンファレンスが医療現場で行われています。
より良い医療現場にするためにも、カンファレンスの目的をしっかり理解する必要があるでしょう。